第194章 名医あり

工藤達央は、その名医が爺さんを診ている手つきを見て、思わず眉をひそめた。

――この程度の腕じゃ、助けられるはずがない。むしろ、殺す。

このまま続ければ、爺さんは10分ともたない。

本来なら、工藤達央は他人の問題にわざわざ関わるつもりはない。だが、目の前で命が消えようとしているのに、見て見ぬふりはできなかった。

立ち上がり、手を貸す――そう決めた、その瞬間。

隣の車両から、すらりと背の高い女が駆けてきた。二十代半ばほど。整った顔立ちに、張りつめたような厳しさが宿っている。近寄りがたい冷気のようなものを纏いながらも、爺さんの姿を見た途端、顔色を変え、焦りを隠せずに視線を彷徨わせた。

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